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桜のFAQ 雑種 



里桜 Prunus lannesiana
 交雑種では山形のように35度以上の気温になると生育が異常に衰える。また鉢植えで温度が上がりすぎると根が腐る。
根は湿害に弱い。自根は異常に太い直根を持つものとして紅豊など、網目のように細かい根を持つものとして天の川、御衣黄(仁科蔵王)などがあるので形態は一概に言えないが、水浸しでは一様に根腐れは共通に起こす。


台桜/青葉桜 Prunus lannesiana Multiplex 

 農水省(現在 独立行政法人)果樹試験場東北支場でホロウサイトメトリで古藤田先生に見ていただいたところ確かに3倍体だった。
挿し木から開花まで最速9年(2/58)であった。
 開花ステージに到達した青葉桜は吸枝も出さなくなり、挿し木も難しくなる。どうしても挿し木が効く様に戻したいならば根元から切り倒して、新しい芽が根元から出てくるのをとる。
 そもそも排水の悪いところでは根元から腐ってだめになる。
台木として使用される定めのため何度も植え替えされることになるが、そのたびに弱っていく。植え替えのたびに深く植え、新しい根を噴き出させていくようにし、最後は接ぎ目まで植えて穂木自体の根を出させるようにする。
 青葉桜には一重のものと八重のものがあると記述があるが、多数の品種が混在してひとつの品種として扱われているものかどうかかねてから関心があった。しかし、バージンフラワーが一重大輪で珍しいと喜んでも、翌年は八重桜になっていくので、つまり同じ品種が栽培条件で一重になったり八重になったりするようである。花弁数を減らすには日陰の湿気の高いところで栽培すると白く一重大輪に咲いた。同じ株を全日照の水はけのいい畑地に植えると、天の川よりピンクの濃い八重桜となって咲いた。
 
 接木の台としての寿命は相性の良いもので、せいぜい50年前後と思われる。相性が良いとはよく接着部分が癒着していて台穂ともども生育がいい場合を言う。台負け台勝ち、吸枝の多発する接木の相性は悪いと表現せざるを得ず、さくらんぼ(西洋実桜)などは悪い部類で寿命は15年程度。さくらんぼはマハレブ、共台、(コルト)などが良いということは経験的にいえる。
 大山桜/富士桜/江戸彼岸桜/小彼岸桜などは吸枝が多発し相性がいいとは言えない。

 例外的に挿し木で2年目で咲く青葉桜など様々の変異はあるが、マニアの楽しみで商品化までいけるものかどうか分からない。
また、3倍体ではあるが種子の発芽率はすこぶるいい。つまり計算上の染色体のそろう確率2の8乗分の2、より確率的に高い発芽率を示す。ただし発芽したとしても開花は5年生以下で咲いたものはない。ほとんど10年以上経過している。またこのことが多くの青葉桜の変異の原因と思われる。とすれば、3倍体でない青葉桜も存在しているはずである。

2009/03/17
どちらも手中
青葉桜 下 と
青葉桜F1 上
 

御殿場富士桜

 2008/5/16に写真を撮ったものである。
 御殿場富士桜は白い一重の花である。本花は1ヶ月遅れて咲いたものであるが、八重花弁・ピンク色と普通の御殿場富士桜と違った色合いを出している。
 誰が作出したものか知らないのであるが、富士桜に色の濃い大輪八重桜を交雑させて作ったものと思うが、交雑が進んだか、異数体になったかしてここから交雑が進められなくなったと思われる。
 先人の育種の涙の跡とはこういうものだ。この桜は大輪濃色の八重桜になる可能性を残したまま、日本全国にいきわたっている。