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「仁科蔵王」 ものがたり
「本品種は、石井重久と独立行政法人理化学研究所との共同育成品種です。」
まったく私の百姓には縁のないアカデミックな物語になってしまった。この桜を説明するには以下の内容で話すとして、その道の人に語ってもらわねばならない。あか抜けした知識人の居るところでないと説明もちんぷんかんぷんになってしまう。どの話も科学の無限世界の入り口になっているからぜひ子供たちに入ってほしいね。
◎お世話になった 加速器ってなんだろう? 量子力学、核物理学ってなんだろう。
◎この桜を育んだ 蔵王山ってどこにあるのかな? 火山、グリーンタフ、太平洋プレート、ユーラシアプレート。地震予知ってなあに。蔵王を訪れた歌人「西行」、「斉藤茂吉」どんな思いを歌ったかな。
◎名前をつけてくださった 野依博士ってどんな人? 不斉合成性ってなあに。有機化学、物質変換、生物有機化学ってなんだろう。
◎重イオンビーム育種法ってなあに? 分子生物学、DNA、遺伝学→交叉、転座、組替えってなんだろう。
主役1 仁科芳雄 博士
2008/01/24 生物照射利用のシンポジウム
すでにサイクロトロンを造られた仁科先生は生物にどのような影響があるのか中性子ビームでの影響を見ておられたという記録を見せていただきました。
仁科先生は理論物理学、実証実験と両刀使いであられたそうです。また、戦後当時の理化学研究所の記録に二人の仁科先生の下で働く職員が記録されており、湯川博士と朝永博士というお話とか・・・まあ、理化学研究所に行って聞いてください。
真珠湾のアリゾナみたいに、東京湾のサイクロトロンもなんかの記念になりそうですけど。
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仁科 芳雄(にしな よしお、1890年12月6日 -
1951年1月10日)博士。岡山県浅口郡里庄町浜中の出身。日本に量子力学の拠点を作ることに尽くし、宇宙線関係、加速器関係の研究で業績をあげた。湯川秀樹博士、朝永振一郎博士らの後のノーベル賞受賞者たちの師、「日本の現代物理学の父」。埼玉県和光市に仁科博士が作った日本初のサイクロトロンは敗戦後米軍によって東京湾に捨てられたが、現在理化学研究所・仁科加速器研究センターhttp://www.rarf.riken.go.jp/index-j.htmlとして核物理学研究の拠点となっている。厳密な意味で「仁科蔵王」はここでうまれた。
主役2 蔵王
文字通り蔵王山をさすが、「仁科蔵王」は仁科加速器研究センターから山形市に送られ、山形蔵王インターチェンジのすぐ近くの畑で、蔵王ダムから流れる水を飲んで育てられた。蔵王山という単体の山はなく、蔵王大権現をまつり、三宝荒神山、地蔵山、熊野岳、刈田岳を主体とする連峰になっている。(ほかに、竜山、鳥兜山、烏帽子山など)、現在はスキーと観光の山だが、平安時代には金、明治からから昭和初期には硫黄などが採掘された。 現在でも温泉の温度が変化したり、地震噴火の危険性のある山として監視されている。
また平安時代に訪れた西行「たぐいなき思ひいではの桜かな 薄紅の、花のにほひは」西蔵王の滝山寺に泊まって読んだ句から、ここいらの桜の色が濃かったことがわかる。文学もいろいろ残せるね。
命名者 野依良治 博士
野依 良治(のより りょうじ、昭和13年(1938年)9月3日 ?
)博士。理学研究科物質理学専攻・教授、所長(センター長)。兵庫県芦屋市生まれ。私立灘中・高校を経て京都大学工学部工業化学科に入学。
専門は有機化学、物質変換、生物有機化学。「BINAP−遷移金属錯体による不斉水素化触媒の開発」により2001年ノーベル化学賞受賞。
現在は世界に3人いる不斉合成性のパイオニアの1人であり、発表論文数は約400、世界で引用された回数は1万6千件(日本の化学分野で最多。)、特許も145件以上取得し大学教官のなかで10指にはいる。
京大、東大、カルフォルニア大、MITなどから迎え入れたいという話は何度かあったのだが、名大に愛着があり離れられなかったという。「有機化学は麻雀より面白い」という名言を残している
重イオンビームを用いた突然変異体植物の作出方法
巨大な元素を高速の99%まで加速して植物の核にぶつける方法により、DNAを切断、交叉や転座、染色体間のDNA移動などをおこして植物に変異を与える。
本方法は国立がんセンターなどでがん治療にも使用されている。
http://r-bigin.riken.jp/bigin/patent/1997/apr/index.html
発明者 阿部知子博士、吉田茂男博士、稲辺尚人博士、加瀬昌之博士、後藤彰博士、矢野靖重博士
特許出願公開番号 特開平9-28220号
公開日 平成9年(1995)2月4日
発明の名称 突然変異体植物の作出方法
生物は核DNAによってほぼ設計されている。人間とゴリラは3箇所の転座など、人間とチンパンジーは6箇所の転座などが違うといわれるが、DNA鎖が切れて前後逆にくっついて戻っただけの違いで大きく進化した。これらの自然現象は宇宙線やC因子を持つウイルスなどによって引き起こされたと考えられている。しかしどのくらいの確率で起こるのだろうか。育種(タネをまき続けて植物の変化を追う仕事)をしてきた私(石井重久)にはこれまで転座による変異と思しきものには皆目お目にかかれなかった。もう21品目4万粒くらいタネをまいたろう。
転座はなかなか難しいが、DNAがお向かいさんと1箇所切れてつながり交換する「交叉」なら今までいくつも見つけている。これも確率的にはすごく少ない。一生待ち続けて死ぬまで何個か見つけられる程度だ。重イオンビーム育種によって植物が未来に起こすであろう変異を短時間で見れるのはエキサイティングなことではないだろうか。
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