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白寿



 西島尚史氏御命名
 かすかにピンクを帯びているのですが、促成したときは白になります。
鮮やかな花弁の光沢から気に入っていただく方も多いのですが、何せ今は色の濃いのが好まれる時代です。しかし、2012にF&Gガーデンショウ向けにゆっくり促成すると桜並みにピンクが入りました。命名の主旨が皆さん白寿を迎えられるように、命を大切にということです。
 この花を見た大学の先生や農水省の方々は花の輝きに感動して、「これ売んなさいよ」と散々言われてましたが、いろいろ他のもんに気が移ってすみません。

 2012年 園芸文化協会長賞を拝受いたしました。



 よく作りこんでみると、実も、切花も楽しめて、庭に植えても巨木にならない、どのように切っても回復の早い桜でした。1997年に品種として固定しています。


 果実は黒く大きく甘い。
2012/06/01 ボケててすみません。まだ未熟果です。


2012/03/25
F&Gガーデンショウ

※概略をお書きください。

※品種ごとにコピーをしてお使いください。

品目名・品種名

Prunus.  x.  cv.Uzumasakura

巴波桜

開発の経緯

 1999-2001年にかけて敬翁桜系にガンマ線の依頼照射を行った。依頼は生物資源研究所・放射線育種場におねがいした。最初の一回目は限界点の80Gy当てたので8/620の生存でほかのほとんどは煮たようになって生き残らなかった。今回の巴波桜はその中の1個体である。

 2005年ごろから満開状態になり実がつき始め、果実の優性遺伝の苦味やまずみが取れていたのでいずれ商品化しようとほうっておいた。形態観察は息子の小学校の自由研究に任せて、6年分とってある。

 2011年福一が核爆発して山形も線量が高くなり、2011年7月 仁科蔵王、2011年9月 巴波桜、2011年10月 仁科乙女 の原木が次々と枯れていった。この件の報告は封殺されているが、線量の高い地帯や土壌線量の高い土地では枯れていく。花粉症と同じで、ある一定線量の限界以上は持たないようだ。

 

開発のコンセプト

 とりあえず最新技術によるときは、どんな風にしたいという偏見と目標を捨てて観察する。その結果得られる方向を見出していくということになる。今回は上記の果実の苦味渋みが取れたという、果実の食用利用の可能性が人為突然変異で得られるということがひとつの成果だった。

 しかし、交雑により、自然に食用の桜果実の育種が進み、本種の主要利用目的は自然交雑に先を越されていた。

 

発見・開発の面白さ、難しさ

 ガンマ線育種は、桜については、照射時の死亡率が高く、またその後の生存率も著しく低く、開花到達年数も長く伸びる傾向があった。

 2006年まで4000近い個体に照射して、生存数は300程度を畑にほったらかしておく状況で観察していた。それらの観察によって放射線育種は退化、遺伝子破壊の方向でどんな形質が出てくるのかが判明した。

 子供の自由研究で奇形葉を並べて持っていったが、先生が、放射能じゃ危なくて近寄れないわねと速やかにかえしてよこした。今そんなこと言ったやつらが、放射能汚染は心配ないといい、セシウム汚染された水道水飲んで鼻血出しているからお笑いだ。

 

【今後の展開】

 本種はほっといて10年ほどしてみると巨木になり、花も濃くなり安定してきたので、実を取るためとして増殖し始めていた。本種の利用目的はそれが主であった。

 しかし、展示会に出してみると、審査員の皆様の評価は別のところに行った。

 本種は休眠が短いので、栄養を与えておけば、年末出荷は関東・東海でも十分できる。開花に必要な低温要求がない。

 F&Gガーデンショウの展示即売では、放射線量が高いと枯れてしまうからやめろといっても、それならなおのこと植えなくては、生かして安全を証明するんだと東北、福島の方の購入が多かった。

 ポピュラーな家庭果樹兼家庭花木のつもりで量販店と交渉していたが、ジャパンセレクションのあとで切花利用という需要が別途提案されてさらに利用用途が拡大した。