仁科春果


 平凡な八重桜にして、果実が甘い桜ができた。
 果樹の八重というのはなかなかお目にかかれない。
 果樹の育種家には花なんかどうでもいいからだ。
 またさくらんぼの八重がカナダの試験場にあったとかうわさは聞く。
 でもなかなか市販されてこない。
 これから食糧難の時代、八重の桜を見るだけでは許してくれないかもしれない。
 果実をとってジャムなどにして甘味をとっておくといい。
 飢えた時代に甘みはとっても贅沢だ。
 特に仁科春果の甘みはほかの品種に増して甘みが濃くかんじる。

 仁科春果の誕生想定に関して。
仁科春果は重イオンビームを照射した多数の個体間で、照射した春月花の別固体が交雑したものと考えられる。

春月花

交雑により実生の生存率が下がり
果実は交雑によりえぐみがへテロで入っている。
花はきれいで
せっかく賞もいただいた。
DNAの想定される状況を絵にすると
重イオンビームを照射するといくつかDNAに欠損が生じる。
その欠損は対立している遺伝子が劣性であればすぐに表現形として現れてしまう。
しかし、同一品種でも多くの固体に重イオンビームを当てると
桜は自分では生殖しない他家受精という機能を持つ。
そのなかで他家受精の遺伝子の壊れたものが受粉する。
(他家受精のメカニズムは抗原と抗体があるのでどちらかが壊れていると思われる。)
お互い破損した箇所を補い大きな変化を見せず、
「果実のえぐみ」をとるという一点だけにおいての改良が可能になる。
新聞掲載用写真 http://www.qsaku.com/diary.cgi?no=137

当センター阿部知子さんの研究室では重イオンビームを用いた新品種を作っています。今回は仁科蔵王(黄色)、仁科乙女(四季咲き)に続く、仁科シリーズの第3,4弾、花の大きい「仁科春果」とぼんぼり咲きの「仁科小町」。9月末より販売するそうです。riken.go.jp/r-world/info/i…

— 理研 仁科加速器研究センターさん (@Nishina_Center) 9月 19, 2012

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